
お役立ちコラム
8020運動と不正咬合ー②
「8020(ハチマル二イマル)運動」は、1989年より厚生省(当時)と日本歯科医師会が推進している「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という運動です。
2017年の厚生労働省のデータでは、8020を達成できている人の確率は51.2%であることが分かりました。
では、どういった人が8020を達成できて、どういった人が8020を達成できないのでしょうか?
今回は、8020を達成するために必要な「ある一つのこと」についてお伝えします。
(8020を達成するためには、いくつかのことが必要であり、今回ご説明することは、一例であることにはご注意ください)
8020を達成するために必要な「ある一つのこと」
「いつまでも自分の歯で、美味しくご飯を食べたい」というのは、誰しもが持つ願いだと思います。「若い時にしておけばよかったこと」のなかでも「きちんと歯科医院に行って歯の治療をしておけばよかった」という項目が上位にランクインしていることを聞いたことがある人もいるかもしれませんね。
では、その願いを叶えるにはどうしたら良いでしょうか?
8020を達成するために必要な、ある一つのこと。
それは、「正常な歯並び」です。
「歯並び」と聞くと、見た目の問題かと思ってしまいがちですが、実は歯並びは見た目だけでなく、機能にも大きく影響しているのです。
不正咬合は8020達成率を下げる
正常の歯並びとは、歯が本来の良好な機能を保つために並んでいる歯並びをいいます。反対に、正常ではない歯並びを専門用語で「不正咬合(ふせいこうごう)」といいます。
不正咬合にはいくつか種類があります。
不正咬合がある方は、正常の歯並びをしている方と比べて、80歳になった時に20本の歯を残せていない確率が上がることが分かっています。すなわち「不正咬合は8020達成率を下げる」のです。
不正咬合の具体例と、8020の達成率について述べていきます。
不正咬合の種類と8020の達成率
不正咬合の名前と8020達成率、それぞれの特徴について説明します。
不正咬合の横のパーセンテージは、2017年の調査で8020を達成できた人の確率です。「10%」と書かれていたら、その不正咬合がある場合には8020の達成率が、たったの10%だと分かります。
①開咬(かいこう)ー0%
開咬とは、奥歯が噛んだ状態で、前歯が噛み合わずに隙間ができている状態をいいます。主な原因には、指しゃぶりや、舌を前に出す癖などがあります。
開咬の人は、前歯で噛めない分、奥歯に負担がかかります。
そのため、正常な歯並びの人と比較すると、奥歯を早期に失う確率が上がり、8020の達成率は驚きの0%となっています。
②過蓋咬合(かがいこうごう)ー13.5%
過蓋咬合とは、前歯の噛み合わせが深い咬合をいいます。通常、前歯は奥歯で噛み合ったときに、上の歯が下の歯を2〜3mmほど覆った状態になりますが、過蓋咬合の方は噛み合わせが深いため、上の歯が下の歯を覆いすぎた状態になっています。
過蓋咬合の方は、下の前歯が上の前歯を突き上げてしまうため、上の歯を早期に失うリスクがあります。8020達成率も13.5%と下がります。
③叢生(そうせい)ー上顎の叢生:0%, 下顎の叢生:28.8%
叢生とは、ガタガタの歯並びをいいます。「八重歯(やえば)」も叢生の一つです。
叢生の主な原因は、歯が並ぶスペースに対して、歯が大きいことであり、特に現代人は顎の幅が狭くなってきていることから、叢生になる人も増えています。
叢生では、歯が重なりあったところの歯磨きがしにくく、むし歯や歯周病になるリスクが上がってしまいます。これが歯を失う要因となり、上あごに叢生がある方の8020達成率は0%となっています。
④反対咬合ー0%
反対咬合とは、噛み合わせが反対になっていることをいいます。通常は上の歯が下の歯を覆うような歯並びですが、反対咬合の方は、下の歯が上の歯よりも前に出ています。
反対咬合の場合では、それぞれの歯に負担がかかりやすいことから、8020達成率は0%となっています。
⑤上顎前突ー15.4%
上顎前突とは、上の歯が下の歯よりも前に出すぎてる状態をいいます。
上顎前突では、奥歯の負担が増えやすいことで奥歯を早期に失うリスクが高まり、前突の程度が強いと唇が閉じずに口の中が乾燥してしまうことから、むし歯や歯周病のリスクが上がります。8020達成率は、15.4%と低いです。
⑥空隙歯列ー5%
空隙歯列とは、歯と歯の間に必要以上に隙間がある歯並びのことをいいます。「すきっ歯」とも言われます。空隙歯列の方は、隙間に食べかすが詰まりやすいため、むし歯や歯周病になりやすいです。8020達成率はたったの5%です。
以上が、8020運動と不正咬合の関係です。
不正咬合をなおす方法については、後日のブログでご紹介します。
はら歯科クリニック
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