お役立ちコラム
親知らずの移植
中途半端に生えている親知らずや、生える際に痛みを伴う親知らずは、抜歯を行うことが多くあります。
特に現代人は、縄文人などと比べて顎の骨が小さく、歯が並ぶスペースが不足していることから、親知らずがうまく生えずに横を向いて生えてきたり、そもそも親知らず自体がなくなっていたりすることもあります。
親知らずは、歯の並びの一番奥に生える歯であり、本来であれば歯として機能すべきものではありますが、うまく生えないことで歯周病やむし歯などのリスクになっていたり、歯並びに悪影響を及ぼしている場合などでは抜歯の適応となります。
特に一度でも、親知らずの周りが腫れたり、痛みが出たりした場合には、再度同様の症状を繰り返すことがあり、抜歯して原因を除去することが望ましいとされます。
そんな親知らずですが、他の歯を無くした時に「移植ができる」という話を聞いたことがある人はいませんか?現代では、歯を失った部位に対する治療法には、入れ歯やブリッジ、インプラントなどがありますが、他の歯を削ることなく、また、人工物を入れることなく自分自身の歯で治療が行えるのであれば、受けてみたいと思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
親知らずの移植を行うには、親知らず自体が健全であること、親知らずを移植のために抜歯する際に、歯の形態を保ったまま抜歯ができることなどが条件となります。また、親知らずは奥歯であるため、形態は大きさから、基本的には同じ大臼歯と呼ばれる歯に移植を行います。
大臼歯とは、幅の大きな奥歯で、前から数えて6, 7番目の歯がそれにあたります。
続いて、親知らずの移植の手順について説明します。
<親知らずの移植の手順>
親知らずの移植は、移植が必要な歯と同時に行うこともあれば、既に失った歯に対して行うこともあります。
今回は、移植が必要な歯と同時に抜歯および移植を行う場合の手順についてお伝えします。
状況によって治療の手順は異なる可能性があるため、内容については大まかなイメージを保つための一例として読んでみてください。
- 抜歯が必要な歯と移植予定の親知らずに麻酔をする
- 抜歯が必要な歯を抜歯する
- 抜歯した箇所を、親知らずが入る形に整える
- 親知らずを抜歯する
- 抜歯した親知らずを乾燥させないようにし、不要な組織を除去する
- 親知らずを抜歯した箇所に試適する
- 親知らずを抜歯した箇所に縫合固定する
- 必要に応じて、材料を用いて動かないように固定する
- それぞれの止血を確認し、処置を終了する
これが、親知らずの移植を行う際の主な手順です。
移植に興味はあるけれど、どのようなことをされるか分からずに不安な方は、ぜひイメージを持ち、処置を検討してみてください。もしも分からないことがあれば、処置を決断する前や、処置前に十分に話を聞き、納得した上で処置を受けていきましょう。
抜歯後には、通常の抜歯と同じで、抜歯後感染といい、抜歯した部位や移植した部位が口腔内の細菌によって感染を生じることがあります。抜歯後感染を予防する目的で、一般に抗菌薬が処方されますが、用法用量を守って内服をするだけでなく、口腔清掃をきちんと行い、処置の前後で口の中の細菌の数を減らしておくことも大切です。
また、外科的な侵襲が加わる処置であるため、術後数日間は、痛みや腫れが生じたり、微量の出血が続いたりすることもあります。痛みや腫れについては痛み止め(抗炎症薬)を内服することで対応します。これらの症状は、自然治癒することがほとんどのため、必要以上に心配することはせず、基本的には経過を見ていきます。
移植後は、移植した歯の神経の治療を行う必要があります。状況によっては、移植時に行うこともあります。移植して1ヶ月ほどは、移植した歯を安定させるために固定を継続していきます。その間は、できるだけ移植した歯に負担がかからないよう、硬い食べ物は避けるなどして様子をみていきましょう。
以上が、親知らずの移植についての説明です。親知らずの移植に関して気になることがあれば、歯科医院で尋ねてみてください。
はら歯科クリニック
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