「口腔外科」と聞いて、どんなイメージが湧きますか？
口腔外科は、歯科口腔外科とも呼ばれ、主に歯科の領域でも口腔(こうくう＝口の中)だけでなく、顎（あご）や顔の周り、その周りの組織に生じる先天性および後天性の疾患について診察を行う診療科です。

口腔外科について解説！

口腔外科は、通常の歯科診療とはいくつか異なることがあり、主に歯だけでなく、先ほど述べたような口や顔の周りを見るだけでなく、特に歯科の中でも外科的な要素の強い診療科です。

口腔外科は、歯が原因となる膿の袋である嚢胞（のうほう）や、埋まっている親知らずの抜歯など、口の中の病変を取り除く処置を行います。
また、他の歯科の診療科とは異なり、唇や歯茎など口の中の粘膜の病変、口腔乾燥症、神経性疾患など、全身と関わりの強い内科的疾患を取り扱うことも特徴です。

他には、顎の骨や歯並びに影響をきたす顎変形症や口唇口蓋裂などの先天性疾患、口腔周囲にできたがんなど、非常にさまざまな疾患を扱っています。
それだけでなく、交通事故やスポーツなどによって生じた外傷の処置を行うのも口腔外科的診療に含まれます。

口腔外科で行う診療について

口腔外科で取り扱う疾患や外傷は、機能だけでなく、見た目にも大きな変化を与えることが多いです。
例えば、先天性疾患である口唇口蓋裂では、唇や上あごが繋がらずに割れている箇所を縫合したり、骨が欠損している部位に骨を充填して機能や見た目を回復することを行います（口唇口蓋裂の手術は、口腔外科だけでなく、形成外科や耳鼻科などで行われることもあります）。
また、広い範囲に及んだ舌癌では、病変部分である舌を切除し、切除後の欠損範囲が広い場合には、前腕など、身体の別の場所から採取した組織を舌に補填することで、機能および見た目の再建を行います。

そのため、口腔外科で行う治療の中には、口の中だけでなく、顎や顔全体、時には身体全体と、広い範囲を処置の対象とすることがあります。
そのために、問診で全身状態やかかっている病気や内服しているお薬について詳しく確認したり、過去に手術をした経験や大病を患ったことはあるかなどについて、確認をしたりすることがあります。

また、実は知らないだけで、口腔外科的疾患を持ったまま生活を続けている方もいます。
特に顎変形症などでは、噛み合わせや歯並びを主訴に矯正歯科を受診し、骨格そのものに変形があることを指摘され、口腔外科を受診することになる場合も多いです。

「生まれつきだから仕方ないし」と思っていたことに対して、解決を望める可能性がある診療科とも言えます。

まとめ

口や顔周りのことについては、専門家でなければ判断は難しく、それが個性の一部であるのか、疾患として治療の対象になっているのかは専門家でなければ分からないこともあります。

もしも口や顔周りのことについて気になる症状があれば、一度歯科医院を受診し、治療の適応となるのかについて確認をしてみることをお勧めします。

特に、口は身体の中でも敏感な組織であり、口の中に髪の毛が入っただけでも大きな違和感を感じるように、少しの違いであってもその変化を大きく感じやすい場所です。
また、機能だけでなく、人から見える場所である点から、治療による見た目の変化も大きく、社会生活を営むにあたり、大きな影響を与える部位でもあります。

機能や見た目での悩みが解決すると、心も身体も健康的な美しさを取り戻すことができます。口腔外科では、そのお手伝いをさせていただくという重要な役割を持っています。

口腔外科で取り扱う疾患の中には、皮膚や粘膜などの「軟組織」と呼ばれる、柔らかい組織と、骨や歯などの「硬組織」と呼ばれる、硬い組織の両方が含まれます。
軟組織の疾患であれば、見た目にも分かりやすいことが多いですが、硬組織の疾患については、適宜レントゲンで検査を行うことで診断がつくこともあります。

正確な診断のためには、時には精密な検査が必要になることもあり、疾患によっては大学病院や設備の整った病院などに紹介になることも多いことも、口腔外科の特徴です。

はら歯科クリニック

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